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【店主note】透辺舎という世界観

8月2日(木)から始まる、透辺舎によるアクセサリーと写真の展示「そうならなかった場合」の、店主的あらすじをここに記しておこうと思います。

アーティスト・志度ゆうりと、デザイナー・原田彩によるプロジェクト「透辺舎」。

志度ゆうりは、言うなれば空間デザイナー。だけども正しくは世界観を作るアーティスト。

今回の展示は、その瞬間しか味わえないものを作るのが好きだと言う志度ゆうりさんと、それを編むデザイナーの原田彩さんが作り上げた世界観を販売する展示です。

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プロモーションビデオの美術や衣装、音楽フェスなどのデコレーションを手がけ、去年開催した個展がキッカケで逗子アートフェスティバルのトリエンナーレ枠に呼ばれたアーティストの志度ゆうりさん。

彼女が作っている作品の中に『葉脈のシリーズ』があり、その作品を使ってアクセサリーを作った事があるのは大分前から知っていました。いつか私がお店を作ったら取り扱わせてね!なんて話しをしていたのが数年前になります。

ある時に、「アクセサリーの形で作品作っていたのですが、やはりアクセサリー作家では無く世界観作家だという部分を消したく無いので、写真集とアクセサリーがセットになった物を作ろうと思っています。今度見せに行きます!」と連絡が来た時は、「写真集!?」なんて、当店で扱える物になるのかなと少し不安に思ったのは事実です。

梅雨真っ只中な湿気った日、志度ゆうりさんが女性2人を連れて来店して下さいました。デスクにアクセサリーと写真集の見本を出して下さった瞬間に、私はとても興奮し反省したのです。

「こんなクオリティー高い写真集を作ってくると思わなかった!」

あまりの作り込み具合に、脳で思った事がすぐに口から言葉になってしまったのを今でも覚えています。

その写真集は、製作した葉脈だけになった葉に生地を張り、ビースや刺繍などで縁をかがっているアクセサリーをモデルさんに身につけてもらい写真を撮っているものなのですが、決して商品"カタログ"では無い、しっかりとした内容がある写真集になっているのです。

志度ゆうりさんが連れて来て下さったのは、その写真集をデザインした原田彩さんと撮影したカメラマンの鈴木彩さんでした。「透辺舎」という名前で販売していくのをその際に初めてお伺いしました。

私はこの時、1つの勘違いに気がつきました。
アクセサリーと写真集のセットは「商品」では無いのです。
彼女たちが作った「世界観」という小さな「作品」なのです。

志度ゆうりさんが、これまで作り上げて来た世界たちは、本当に大きな物ばかりで1人と言わず多くの人を一度に魅了して来ました。
そんな彼女の作り上げる世界観という作品を、よりパーソナルな物に落とし込んだのが、原田彩さんと言う事になるのでしょう。

志度ゆうりさんだけでは出来ない今回の作品だったからこそ、デザイナーという外見を作る人が必要だった訳で、結果「透辺舎」が生まれる訳です。

アクセサリーと写真集は、アクセサリー作家では無い世界観作家が選択した表現方法だったのです。

その瞬間をとどめた葉脈のアクセサリーを、
その瞬間をとどめる写真を使って、またとどめる。

世界観を表現するためには、1枚の写真では表現出来無いので自ずと枚数が多くなります。映画のように撮影された写真たちは、纏まり流れによって世界観が生み出され、アクセサリーという写真集から抜け出したリアルな物がより世界を濃いものとしているのです。

今までは記憶にだけ残る物を作って来たアーティストが、今回の作品は1人1人が世界観を所有でき、身につけられるものを製作したという訳です。

アクセサリーは1つ1つ手作りなので、同じ形の物はございません。なので、オンラインでの販売はできません。
目で見て、感じて、お気に入りの1つを見つけて頂ければ幸いです。

また、bookobscuraの空間を使って、その世界観を感じられる展示をして下さっています。この展示を是非体感して頂きたく思います。

写真は、写真集は、美術の表現方法の1つで、絵を描く人もいれば、音楽を作り出す人、彫刻などの立体を作る人もいれば、写真で表現する人もいる。
世界観作家が今回の作品の表現方法を「写真」と選択した事で生まれた本作品。

写真というアート表現を見つめ直すキッカケにもなってほしいと願っています。

過去の店主note
https://bookobscura.com/news/5aea9a18122a7d1f480004fa