
【店主note】アウトプットの筋トレ by 鈴木彩
みなさんは、シャッターを切った先に何を見ていますか。
アウトプットしていますか?
今、店主が勝手に注目というか密かにファンである写真家の鈴木彩さん。
8月2日(木)〜8月20日(月) まで開催していたアーティスト・志度ゆうりとデザイナー・原田彩のユニット「透辺舎」の展示にて販売されていた「そうならなかった場合」という写真集のカメラマンを務めた写真家さんです。
彼女にハマってしまったキッカケは、展示の数ヶ月前に拝見したデモ版の「そうならなかった場合」の写真を見てからなのだけど、それ以外にも彼女はどんどん私を魅了して行きました。
***
展示の前日に設営をしていましたが細かい所が終わらず、翌日の展示初日のお店OPEN前に持ち越しになった透辺舎の展示。
設営が終わり、出来上がった展示を撮影していた鈴木さんに展示限定のスペシャルドリンク「時間をとどめたコーヒー」のブツ撮りもして頂きました。
撮影している姿、出来上がってきた写真を見て鈴木さんがプロである事を体感してしまいました。

そんな鈴木さんが展示の在廊中に、小さな箱とお手製のZINEを数種類持ってご来店して下さいました。
内容を聞くと「交換日記ならぬ、交換ZINE」だと。その言葉に早くも惹きつけられる店主。気になりすぎて質問したくてしたくて止まらず、早速インタビューしちゃったのです。
持ってきて下さったZINEを広げると、いかにもお手製のZINEとは別に、しっかりと印刷されホチキスで留められているZINEが2種類。B6サイズの「人間」というZINEと、A4サイズの「彼岸」です。
2018年の2月にアナグラでグループ展を開催した際に作ったZINEだそうで、「人間」は2017年の鈴木さんの日記になっており、自分の人生を振り返った時に「今までに何もなしえなかった」事に恐怖を感じ、半径数百メートル内の日々のスナップをまとめた1冊になっています。「彼岸」はタイに行った際のスナップになっており、彼女初の海外撮影だったようです。
2月のグループ展の為に上記の2冊を制作をしたものの、展示は1週間で終わってしまい、展示が終わった後の侘しさが「交換ZINE」を作るキッカケにったと鈴木さんは言います。
人に見せないタイプだった鈴木さんは、ある人の言葉でハッと思ったそうです。
「人に見られない写真は撮ってないのと一緒」
そうだよなーっと感慨深かったようで、とにかくこれからもアウトプットしよう!と、グループ展で写真を展示していた知人の写真家さんと一緒に月1でZINEを作って交換することにしていきました。
ルールは自由。お互いのを見るだけでも、他に見せても構わないそうで、大量に印刷しても良いそうです。1年やってみて終わった時にエッセンスとして1冊まじめに取り組んでも良いかなと構想しているのだとか。

アウトプットの内容はその月によって違い、仕事先で撮影した写真の現像屋さんで貰えるようなL判写真が収納出来るアルバムにまとめられた「式場」、コウモリランなど観葉植物などが湿気ある写真でまとまった「ユートピア」、考え深かった家族旅行をまとめた「西へ」などがありました。
最初はアウトプットするのに、富士山を登るくらい大変だったそうで、続けていく内にちょっと駅に行くくらいの感覚になってきたと話す鈴木さんの作品を見ていると、確かに毎号毎号「挑戦」をしながらも鈴木さんという「核」がブレずにいるように見えました。「筋トレ大事ですね。」と続ける鈴木さんの言葉に重みと深みを感じずにはいられませんでした。
「餅は餅屋」だと思っているから、自分の写真集を作るのであれば、編集やデザインはプロである誰かに頼むだろうと語る鈴木さんはこう続ける。
「今後自分が写真集を作る時に編集者という仕事、デザインという仕事であったり、プロとしている人と言語では無い何かで渡り合っていけるようになるたの、筋トレ。」と、これはアウトプットの筋トレで、シャッターを押した先の筋肉をつける為の筋トレだと素敵な笑顔で話してくれました。

なぜZINEなのか、なぜに紙に印刷する必要があったのか彼女に問うと、
「ネットはSNSは流行があって、ミクシーのように廃れていく。
インスタグラムもいつかは解らない。SNSによって時代が区切られてしまうのではないか。死んだメディアに作品を残していてもしょうがない。紙ならば、身近で簡単に形が残り、デバイスが無くてもそこへの信頼感が強い。」と彼女は力強く答えてくれました。
アウトプットをしたおかげで今回の透辺舎の仕事につながったのだと話す彼女の活動に興味を持たずにいられません。
展示中も真剣に写真集を見ていて、ご友人が来店された時もオススメの写真集を薦めていらっしゃったり、展示が終わった後も店主のヨーロッパとアメリカ写真の違い研究にわざわざご来店して下さる姿を見ていて、写真や写真集への敬意や熱意を感じとっていました。
そんな鈴木さんが筋トレと話すと、とてもカッコ良く見えて、これからも鈴木さんの作品を見続けたいし、応援したいなと思いました。
アウトプットすること、シャッターを切った後の筋トレ、紙にすること、改めて鈴木さんから、写真家さんが写真集にかける思いや作るという事の敬意の濃さを学ばせて貰いました。
あまりにも「交換日記ならぬ、交換ZINE」に感銘を受けたので店主noteに残しておくことにします。

そんな鈴木さんのサイトはこちら
HP:http://ayasuzuki.tokyo
instgram:https://instagram.com/pleasetellmeaboutyourlife?utm_source=ig_profile_share&igshid=17i7zcvw4wamk
2月のグループ展の際に制作した、「人間」と「彼岸」の2種類は当店で取り扱っておりますので、ご来店の際に是非ご覧くださいませ。
ONLINE SHOPにも近々更新しますね。
店主note
https://bookobscura.com/news/5aea9a18122a7d1f480004fa