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【店主note】写真は美味しい。

私は写真を見ている時に「美味しい」と発言してしまう。

きっと写真は、写真家という一流シェフが作ってくれた料理に似ているからだと思います。

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シャッターを切った瞬間、フィルムに焼き付けられた写真や、液晶画面に映った写真は食材の状態だと考えます。
何度もシャッターを切っては、食材の量や種類を増やしてみたり。ということは、カメラは冷蔵庫なのだろうか。

食材を採取するのに、土壌から研究して育てる人もいれば、奇跡的に発見したり、人工の光で育つレタスがあるように、様々な採取のされ方がされ、そのままでもそれはそれで美味しい食材なのだけど、そこから更に様々な食材を混ぜ美味しさや見た目を追究して、芸術的な料理にしているのが写真家さんのように思えます。

調理器具を屈指して、切り方、焼き方にこだわったり、調味料にこだわる人もいて、隠し味は、案外簡単な物が使われていたりなんかして、何時間煮込んだり、干したり、燻製にしたり。

やっと出来た丹精込めた料理を、次は盛り付けしなければならない。

似合うお皿は?テーブルは?
外で食べるのか、夜景の見える場所なのか。
それはまるで、展示なのか写真集なのかのアウトプット先を決める工程みたいです。

どのような額にするのか展示の表現考えるようでもあり、写真集をハードカバーにするのか、ソフトカバーにするのかなんて、装丁を選ぶようでもある。
出来あがった料理を、誰に食べて貰うのか、その時間や空間を想像するのは楽しい。

私はそんな食材から料理され、盛り付けられたそれらを、それはもう美味しく食しているのだと思う。

和食であって、フレンチであって、イタリアンなのかもしれないし、タイ料理なのかもしれない。それぞれの魅力があって、それぞれの変えられない美味しさがある。

見た目で楽しみ、美しさを感じ、1口食せば、その土地どちの香りや風を感じる。

シェフに隠し味を聞くのはナンセンスな行為であり、なんの調理器具で、どこの食材かなんて聞ける筈もない。時々、京野菜のなんてメニューに書いてあったりもするから、ヒントを出して貰える時もあるけど、まずは味わいたい。

何も考えず、まずは口に運んでゆっくり噛み締める。飲み込むまでの濃厚な体験は食べた人にしかわからない。人に聞いた味ではなく、自分の舌で味わう。

私にとって写真はそいういうもの。

今年はどんな料理が食べれるのだろうか。
こんな文書いてたからかお腹空いて来ちゃった。

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