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【today's freak vol.4】若手注目の写真家!Jack Davison!!

ー初めて写真集を見た時は、100年前位の写真家の作品が現代になって新しく見つかったの?と思いました。

写真の掲載はなく、灰色の布装に黒い文字で『Jack Davison Photographs』と書かれたシンプルな表紙を捲るとそこには、近代写真の始まりとも言われる100年前の写真家たちがいました。

それがまさかの1990年生まれのイギリスの写真家さんで、刊行された当時は29歳と知って、一瞬脳内がフリーズしたのを今でも覚えています。

表紙をめくって最初に書かれているのは「1997-2019」という、彼が16歳の時に撮影していた作品から28歳までの作品ですよと示した数字。

10代からこの感性ってどういうこと?という、飲み込めない事実と格闘しながら、彼の実態を探っていくと、写真は14歳の時からカメラを始めていそうで、今日まで写真の学校へ行って写真を学んだことがないといいます。

はて?

私の目の中に飛び込んでくるJack Davisonの作品たちは、この200年近くある写真の歴史が沢山詰まっていて、写真という表現の「美」を確実に習得している人に見えます。

ーどれだけ写真集を見たのだろう。

本書を見ていて、彼は多くの写真集を見ている人だろうと思います。なぜならば、エルンスト・ハース、エドワード・ウェストン、マン・レイ、アルフレッド・スティーグリッツ、ヴィヴィアン・サッセン、ロバート・フランク、レイナー・ライツゲンなどその他にも多くの面影を感じるような作品があるからです。

彼の作品は「模倣」だけでは終わっていません。
どう写真を見ても、上記にあげた写真家の写真集を見れば辿り着ける「美」ではないからです。

写真集を見てページをめくっては「いいね」で終わらせていないと思います。

なぜこの作品が「良い」のか。何がそう思わせるのか。
「撮り方?」「構図?」「モチーフ?」「色?」など、自問自答をしながら、それを試行錯誤しながら何度も何度も具現化してみていったのだと思います。

具現化していったからこそ、先人の写真家の目や言葉になりうる写真表現を取得して、そこから「じゃぁ、自分とは?」とも考え、先人の「美」に自分なりの「美」を重ね合わせながら「Jack Davison Photographs=自分の写真」になったのだと思います。

この域に達するには、どれだけ写真集の1枚1枚を読み込んだのだろうか。
末恐ろしい人です。

ー写真集という形

Jack Davisonは現在、MHLのカタログを撮影していたり、VOGUEなどのファッション誌や広告業界でとても人気ある写真家さんです。

写真集『Jack Davison Photographs』にもVOGUEで掲載された写真が使われていたりまします。

興味があってJack Davisonが撮影した写真が掲載されているVOGUEを購入して彼の作品を写真集と雑誌で見比べてみましたが、同じ写真作品であっても洋書雑誌の多くで使用されている薄いペラペラのツヤツヤしている紙で印刷された方は「めちゃくちゃデジタルっぽい写真だな。」と思ってしまいました。

なんだか軽い気がしてしまったのです。

彼の作品が掲載された国内外含めて多くの雑誌を手に取ってみましたが、写真集が1番良いと思ってしまいました。

写真集に使ったインクが若干染みていくような紙の選択、そして写真1枚1枚印刷サイズが違い、余白含めて、各写真の見え方が考えられています。

見開きいっぱいに掲載された雑誌とは違い、彼の作品の繊細さがしっかり写真集という形になっても表現出来ていて、印刷や余白や写真サイズなどの力によって、彼の作り上げた世界観に簡単に没入出来るようになっているのです。

ー3刷目とANNOTATED ARTISTS ed版。

そんな彼の初写真集となった『Jack Davison Photographs』は初版、2刷ともにすぐに完売してしまい、長らく絶版になってしまっていましたが、やっと3刷目が出来上がりました。

また皆様にご紹介が出来るのが嬉しいです。

3刷目の発売に合わせて、まさかの彼の作品に様々なアーティストがイラストやコラージュしてしまった、『ANNOTATED ARTISTS ed.』も同時刊行しました!

『Jack Davison Photographs』の表紙と同じデザイン?なので(よく見るとゲシュタルト崩壊していて、JackがJ(c)akになっていたりするので違うデザインなのですが。)、どう違うの?と思ってしまう方も多いかと思います。

開いてみれば一目瞭然!
『Jack Davison Photographs』と写真の並びは一緒なのですが、彼の写真の上やら余白に絵が描かれていたり、彼の写真の一部が切り抜かれていたりします。

ーその他のデヴィソン。

『Jack Davison Photographs』の他に、2021年に刊行された彼の別の写真集もございます。

ニューヨーク・タイムズ紙に掲載される記事の為に、地球上で2頭のみとなった絶滅危惧種のキタシロサイを、ケニアのオルペジェタ自然保護区に撮影しに行ったデイヴィソン。

カラーとモノクロで表現された作品は、まどろんだイメージがデヴィソンの感性そのもので、アフリカの強い日差しだからか濃淡が強いです。

人間によって絶滅の危機にさらされている種の根深い悲劇とは裏腹に、2頭のサイの優美さと力強さが写真に収められ、番犬、武器、ドローン、監視カメラを駆使し、命を懸けて2頭を守る飼育係たちのポートレートを合わせるとサイとの深い繋がりに見えてきます。

本書の売上の一部は、オルペジェタ自然保護区と遺伝子プロジェクト「Biorescue」の活動を支援するために寄付されるそうです。

若手で注目している1人。Jack Davison。
同じ世代の皆様にも刺激を与え、写真好き、写真集好きの皆さんも納得の人だと思います。

写真の歴史や写真史を学べば学ぶ程、面白くなっていく人でもあると思うので、自分の知識が増えれば増えるほど見え方が変わってくる1冊でもあります。

この200年近くある歴史をこの1冊で触れるきっかけにぜひ。