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【店主note】熊谷聖司さんとの対談を補足。

先日、12月5日(日)にLivres lieu lieuさんから刊行された熊谷聖司さんの最新作!『RE FORM』の刊行を記念して、出版社さん側で開催されたライブ配信のゲストに店主を呼んで下さり、熊谷さんと贅沢に対談させて頂きました。

前作にあたる『MY HOUSE』と見比べる内容を予定しておりましたが、収録の3日前に出来たてホヤホヤの写真集を拝見させて頂いた結果、それをしてしまったらダメだ!と気づき.....「覗く写真」と「描く写真」というテーマでお話しを進めさせて頂きました。

そんな動画がアーカイブされましてyoutubeさんで視聴可能なので、是非ご覧頂ければ幸いなのですが、改めて見返していて補足と言いますか、まとめたいなと思い店主noteに書かせて頂きます。

まだ、アーカイブ動画を見ていない!という方は以下リンクからご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=-oz9FRTvmVo&t=4343s

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改めて「覗く写真」と「描く写真」ですが、
「覗く写真」はファインダー越しの世界への瞬発的な「アクション」であり「リアクション」の写真だと思います。アクション、リアクションの素早さが「目がカメラになっている」という言葉に変わっているのだと。

「描く写真」は、同じファインダー越しの世界へのアクション・リアクションではありますが、その前に「作家の脳」を通っていて「どう描きたい」「どう線を配置していきたい」という作家のやりたいことが主であり、最初にそれがあってからのアクション・リアクションに変わっていく違いが大きいと思われます。

アーカイブ動画の34:52あたりで熊谷さんがギッリについて説明する言葉が「描く写真」にかかる「構成」「計算」「配置」なのだと。この「配置」の後にも続いている言葉や単語が重要でもあるので、そこは動画をご視聴頂けると嬉しいです。

「描く」はとにかく、世界への瞬間的なアクションではなく、その世界に相対した時に「自分がどうしたいのか」が先行する写真なのだと。

では、広告は?

広告写真でも「覗く」と「描く」写真があります。
でもそれは「誰のために」「何のために」が違い、企業から依頼があってのことですし「自分が」が先行しません。

熊谷聖司がやっているのは、誰のためではなく

まさしく

「眼の歓びの為に
  指の悦びの為に
この大いなる歓喜の為に
     わたしは尽す」

ということなのです。

眼の歓びの為に / 熊谷聖司(Seiji Kumagai)
¥4,950 税込
https://bookobscura.com/items/602757d2c19c4551189a97ae

それは、自分の鏡となる自分の衣食住的な日常や周りの人を被写体とした「私写真」ではなく、『RE FORM』がまさしく今の自分なのです。

『眼の歓びの為に』は、文章を書くように音楽を奏でるように強弱やブレスを混ぜた写真になっているのに対して、『RE FORM』は全て同じ音や強さに見えます。私にはそれが何も包み隠さず、上手い言い方に変えるわけでもなく、100%そのままで出しているように見えるのです。

熊谷聖司さんはファインダーを覗いた世界への瞬発的なアクション・リアクションと同じ速さ以上の光の速さで、脳内で「描く」ためにどうすれば?を考えれる人です。

脳内の引き出しを様々開けているのにアクション・リアクションが素早いので、客観的に見ていると「覗く」が強く感じられますが、あの脳の中には末恐ろしい程の「熊谷さんなりの良い写真」がたくさん詰め込まれ、「色」が無限に詰め込まれ、「紙」の種類、「編集」など様々詰まっているからこそ、あの速さで「描く」が撮れるのだと改めて思いました。

熊谷さんのこれまでも、これからも楽しみで仕方がない店主の補足でした。

ちゃんと配信内でうまく説明出来ず、このような形の補足となり申し訳ございません。

改めて、配信を観てくださった皆様、この対談の機会を作って下さった出版社の方々、そして、いつも店主の質問や感じたことに向き合って下さる熊谷聖司さんに感謝をさせて頂きます。

最新刊『RE FORM』と『MY HOUSE』を是非!ご覧くださいませ。
2冊がセットになり、世界に1枚しかない存在させれないチェキ作品が1枚入った特装版も店頭にて販売しておりますので是非。

/////店主noteのバックナンバー/////
https://bookobscura.com/news/5aea9a18122a7d1f480004fa