
【店主note】新刊を売る意味と、本を買取する意味
新刊の写真集を売っても利益が本当に低いので、お店の売上を考えると扱えば扱う程大変なことに......。
でも、新刊の写真集を扱うことには意味があるのです。
まず1つ目!
「新刊を売れば作家さんに還元される!」
古書を販売する理由は2つ目に関わってくるので、古書を売ることは重要に思っていますが、やはり古書を売っても作家さんの利益にはならず........。。。
ですが、新刊は作家さんに利益が戻ります。
ということは.........?
「作家さんがフィルムやカメラを買える」からの「新しい作品が見れる!」
という事です。
もう、この文章を書いていてワクワクして来てしまう店主ですが、何より作家さんが作った作品にペイしていると私は思っています。
例えば、ニューカラーを代表する写真家さんStephen Shore様の『Uncommon Places: The Complete Works』ですが、大判カメラで全て撮影されておりますので、本人もyoutubeで語っていた通り、1回シャッターを切るごとに80ドル(1万円前後)かかってしまっています。
大判カメラ用のフィルム代や現像代だけでワンショット80ドル。
シャッターを切って1万円吹っ飛ぶって。。。
そんな作品が写真集には何枚入っているのだろうか。
2021年に再印刷された版だと、写真が掲載されているページが172pあるので、172万円はかかっているという計算。(この時点で胃がいたくなってきました。)
これはフィルムと現像代だけなので、それに移動費や宿泊費、そしてショア様の撮影にかけた年数という日数という時間を足さなければならない。
そんな作品群が本という形になって新刊で7700円。
プリント買えたらね。。。写真集という形があってよかった。
ショア様にお金が戻って、眠らせている写真が新しく写真集になりますよーーーーーーに!!!!!!!!と、いつも買っている店主です。
次!新刊を売る理由の2つ目!!
「放流!」
新刊を売れば売るほど、何年後か何十年後かに古書として戻って来るかなという「希望」です。
鮭を放流するように、鮎を放流するように、新刊を日本という国内で在庫を増やすことが大切だと思っています。
こう言うと古書店の利益の為に聞こえてくるのですが、写真集ヲタクの店主は10代の時から写真集を古書で買いまくっています。
手に入れた古書は誰かが 「国内外から仕入れて販売」し、誰かがそれを「購入」し、そして「売って」、それをまた誰かが「購入」を繰り返して、何十代目かは解りませんが私の手元に来たということです。
誰かが仕入れて、誰かが購入、売りを繰り返さなければ、私が生まれる前に販売されていた写真集を、私が手に取る事も感動を味わうことも出来ませんでした。
私は写真集を売ることを「日本国内にいる人たちとシェア」だと思っています。シェアすることで何十年、何百年と、その写真集の感動が語りつがれていくのですから。
本屋さんや、出版社さん、図書館で一生涯において本が残り続けることはありません。本を保管する倉庫の費用もバカにならないので売れなければ「シュレッター」ですし、貸し出しが何年も無ければ除籍になったりします。
お客様が購入=在庫を抱えて保管していて下さっているから、何十年も前に刊行された写真集が今だに生き残っているのです。
1人の感動が引き継がれ、誰かの感動に繋がり、またその次、その次と。
本を売るというのは、本から貰った感動を誰かとシェアしているという事だと思うのです。
洋書で限定700部。国内に何冊入ってきて、日本国内にいる人間何人とシェア出来るだろうか。
国内で限定700部。国内外にどれだけ渡って行き、日本国内にいる人間何人とシェア出来るだろうか。
新刊を売るのは本当に利益に繋がらないので、経営としては大変ですが「作家さんへの還元」と「放流」することで、未来の人たちにその写真集がシェア出来る「希望」が待っているのです。
「売る」というのは、時々マイナスな言葉になってしまいますが、国内外にいる人たちとの「シェア」だと思って、いつでもどこでも表紙を開けば感動を与えてくれる「本」の大義名分を繋げていけたら。
今、あなたが感動している作家さんの作品が子供、孫の世代で「誰?」と言われないように。シェア!していきましょう。
ご自身で「売り買い」も大切なシェアに、もちろん繋がって行きます!!!
当店にご依頼を頂けるのであれば、写真集を見ただけでは伝えられないことも含めて販売し、未来に多くの感動を繋げられるように致します。
皆様と一緒に多くの感動を未来へ繋げられるよう今日も
「写真集愛はじめます」
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【店主note】人間ドックならぬ「本ドック」
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