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【gallery】熊谷直子 写真展「レテに浮かんで」2024.8.29-9.23

写真家・熊谷直子の第二作品集『レテに浮かんで』(TISSUE PAPERS)刊行記念の展示を開催します。
 
熊谷は商業写真、特にポートレイトにおいて、人物の内面の核を片手で掴み取るような写真表現を模索してきた作家です。
『月刊 二階堂ふみ』『杉咲花ファースト写真集 ユートピア』といったメジャーフィールドの仕事から、大駱駝館、イ・ランといったインディペンデントな表現者たちとの撮影者/被写体という区分を超えた共創、そして友人知人との関わりに至るまで、多岐にわたる人々との「関係」をカメラに収めてきました。
 
その熊谷が近年の重要な被写体としてきたのが、東日本大震災のあとに出会った宮城県気仙沼の人々と、認知症を患い施設に暮らす母親でした。多くを失いながらも今を強く生きる人々と、生の証である記憶を日々失いながら毎日を「あたらしい生」とともに生きる母。作家はそこに自身の「今」へと流れ込むひとつの河の流れを見出し、第一作品集『赤い河』(TISSUE PAPERS、2017年)を発表しました。

それから7年。コロナ禍を挟む期間に母がこの世を去り、生家が更地になり、友との別れも経験するなどこれまで立脚してきた「関係」そのものが失われ、形を変えていく中で、「忘れたくないから写真を撮っていると思っていた」という作家自身も、少しずつ変わっていきます。

すなわち、悲しみや喪失、生と死をも固定された状態と捉えるのではなく「あたらしい生」——そこに何があり、自分がどうなるのかさえもわからない未来への経由地であると捉えること。失い、忘れていくことの底に残るものがあるとしたら、それは「変容」の先に見える何かへの希望なのかもしれません。「人は忘れ、失っていくばかりなのか」「それでも生きるとはどういうことなのか」という、誰もが避けがたい命題に対する一つの向き合い。作家の新たに到達したその境地を一冊にまとめたのが、待望の新作『レテに浮かんで』です。

喪失のあとで、作家の目は世界をどのように捉えたのか。「そこに何が写っているか」を超えた「固有の目」の置きどころにこそ写真という表現の本質が存在するのだということを存分に伝えてくれる傑作から、どのような展示が生まれるのか。ぜひご期待ください。

ー展示に向けての店主noteはコチラ
https://bookobscura.com/news/66a5d411ccd49a0317c46428

/////開催概要/////
熊谷直子 写真展「レテに浮かんで」
期間:2024年8月29日(木) - 2024年9月23日(月)
※9月16日(月)、9月22日(日)、23日(月)祝日も営業致します
営業時間:12:00-19:00
定休日:火曜・水曜日

/////クロージングパーティー/////
※8/30(金)に予定しておりました「オープニングレセプション」ですが、台風の影響を鑑み延期となりました。
代わりに9/23(月・祝日)に変更となりましたので皆様お誘い合わせのうえご来店下さいませ。

日時:2024年9月23日(月・祝日) 18:00-20:00
会場:bookobscura
参加費:無料

/////トークイベント/////
写真家・熊谷直子さんと、出版社TISSUE Inc.の安東嵩史さんを迎え、最新刊の制作秘話や、本作品についてなどを伺いながらお二人の考える写真集と写真を深掘りして参ります。

なお、本イベントは先着15名様のみ店頭観覧にご参加いただけます。観覧希望の方は、弊店メールアドレスにご連絡をいただくか、店頭でご予約ください。book obscuraのyoutubeチャンネルでのLIVE配信も予定しています。いずれも参加費/視聴は無料です。こぞってご参加ください。

Special Talk Event 「レテに浮かんで」
2024年9月14日(土)19:30〜21:00
出演:熊谷直子(写真家)/安東嵩史(TISSUE Inc.)/黒﨑由衣(book obscura店主)
参加費:無料(店頭観覧は要予約)
場所:book obscura/同店YouTubeチャンネル
URL:https://youtube.com/live/QECiwwmMei0

/////作家プロフィール/////
熊谷直子
1976年生まれ。 幼少期よりカメラに触れ写真撮りはじめる。20歳でパリに渡り、写真・芸術を学ぶ。 ドキュメンタリー性のある作風を生かしたポートレイト撮影を得意とし、雑誌・webなどさまざ まなメディアで活動する。
作家として、2017年に『赤い河』(TISSUE PAPERS)を発表。また、『月刊二階堂ふみ』『杉咲花 ファースト写真集・ユートピア』『山本舞香Bailar』など人物に焦点を当てた写真集も多く発表し ている。